2010/09/11

ロボットと介護や看護 ~独立行政法人 科学技術振興機構~

9月6日 東京で「高齢社会を豊かにする科学・技術・システムの創成」をテーマに
独立行政法人 科学技術振興機構主催にて 意見交換会が行われた。
http://s-innova.jp/cat_20100906.html

そこでノーリフトを紹介し、看護や介護における腰痛予防対策の必要性やマーケットの大きさを話した。
 
実際企業で開発された機器の開発過程なども うかがうことができとても興味深い時間だった。
 
写真は 討論会の様子 
(JSTより許可を得て写真掲載:複写&転用禁止)
 

ロボット開発とノーリフトを初めて結びつけたのは NIRO 神戸ロボット研究所からの依頼だった。
はじめ・・・リフトなどの福祉用具を推進している私でも ロボット!???が・・・と
引きぎみで 少し否定的であったが 開発者の方のお話を伺い
「ロボットに介護はできないけど 介護支援はできるのでは!?とおもっているのです」と 熱い説明を伺い 神戸ロボット研究所にうかがったのがはじめだった。

いろいろ話していくと ロボットとノーリフト どちらも同じ壁にぶつかるのだった。
それは 現場の理解。どれだけいい機器を作っても 現場が受け入れてくれない。
いらないといわれる。 

確かに マニアックなものはいらない。
邪魔になり 保管するのも いやになるだろう。そして 2度と機器は必要ないと思うだろう。

しかし、今年になってロボット開発者や現場の様子を見ていて・・・強く思うようになったことがある。
それは、現場(介護や看護)と日本の技術が癒合すれば 日本は世界に誇れる機器を作れる。ということだ。熱い思いを持った現場と 熱い思いを持ったロボット開発者。
お互い 思考回路が違うので(あくまでも私の実感ですが・・・) 話し合うこと
議論することが必要だ。また、どこまで出来るのか開発者は現場と意見交換を重ね
本当に必要な機器を生み出すことが大切だと思う。

そういえば、福祉用具を当たり前のように使っているオーストラリア人は 私によくこういった。
「日本はロボットも作っている。腰痛予防に関するものも きっともっともっといいものを作れるはずだ。」と・・・そのときは 彼らの言葉を「へ~ そういう風に考えるんだ」と思って聞いていたが
現場を見て 実際福祉用具を使う 導入すると・・・
まだまだほしいものがある。 まだまだ改善してもらいたいものがある。
きっと 彼らは今の私と同じことを感じていたんだ・・・と 今になってわかる。

そして オーストラリア人がよく言ってた
「日本はビックマーケットをほったらかしにしている」という言葉も 今ならよくわかる。

たった数年で 看護師の私の考えが変ったのは
看護や介護が持つ “気持ち”や“コミュニケーション”を無視せず
取り入れた ノーリフトを知ったからだ。

どれだけいい機械を作っても それに興味を持ってもらわなければ意味がない。
それには 介護や看護者にノーリフトの考え方を知ってもらうことが
遠回りのようで 一番近いと思う。

安全&安楽に機器を使い かつ安心したケア提供が行える現場を作るために 日本の技術と心が一緒になるチャンスがここにあり それを世界に発信出来ると感じる。


3 件のコメント:

はげくま さんのコメント...

事業仕分けの対象になった科学技術振興機構での活躍お疲れで御座います。
当方でも病棟管理者へ、労災での腰痛対策や膝関節への負担を減らすべきだと問題提起をしたのですが、「でも機械よりも人が多く居た方が早いじゃない」「腰痛は、看護協会が長年言っている事だから自分で予防が云々」とノラリクラリとかわされてしまいました。
看護協会ですら腰痛に対して長年認識しているのであれば、自己責任論とか言うべきではなく、尚更労働環境を改善しろと病院当局へ強く申し出て欲しいものです。
職業病としての腰痛対策に、もっと日本は積極的にならないといけない時期なのかもしれません。
ご活躍応援してます!

さゆり さんのコメント...

がんばっているね。。
わたし最近Occupational health and safetyに興味があってまた学校行こうと思ってるの、、
知識がないから、、、もっと知識を増やしてなぜなのか、なぜ必要なのかってのがわかれば色々なことを導入しやすいと思うのね、、
こっちのシステムの見習うべきとこをとちょっくら学習して、自身の知識を増やそうかと、、リサーチして、、、がんばろうかな、、とね、、来年からコース始めるつもり、、、、日本にもOHSの知識が広まれば、じゅんこちゃんがしてることももっと導入に役立つのじゃないかしら、、と思ったり、、、意識の向上ってのが大きな壁よね、、、でもあなたならできる、、がんばってね、、、遠い空から応援してるわ。。。。。

さくらたまご さんのコメント...

介護の世界の片隅から。

 介護を必要とする当事者が、どんな暮らしを望むのか。そこからどんなケアが必要とされるのか。

 そこから出発して介護技術やコーディネート、道具、機器の導入は形作られていきます。

 しかしこのプロセスがうまく機能しないことも多々あります。

 ある方が、車いすを新調しました。これまで乗っていたものをベースに、身体の障害者状況変化に合わせて、リクライニング機能を追加してもらいました。

 届いた車いすは、折りたたみはできず、従来必ず付いていたティッピングレバーがないものでした。

 折りたためないと、タクシーに乗る時にトランクに乗せることができません。

 ティッピングレバーがないと、段差や電車の乗降の際にキャスターを上げるのが難しくなります。

 実際に車いすに乗る人や介護する立場からは、この二つの機能がなくなることは、思いもよらないことでした。

 作る側はというと、新しい機能を組み込むためには、これらをなくすことは自然なことだったようです。

 このあとさまざまなやり取りを経て、双方妥協するところは妥協、工夫できるところは工夫して何とか一つの車いすが出来上がりました。

 長年お付き合いしてきた業者さんでも、ご本人の生活状況やニーズに合わせた車いすを作ることはとても難しい事があります。

 最近、立て続けにこのようなケースに遭遇し、ご本人と、業者(作る側)、そして介護者としてかかわるものとのコミュニケーションの大切さを痛感しています。

 また、車いすでもそうですが、導入にはコストがかかります。高いコストをかければ問題なく使えるという保証もありません。試用できる機会も限られています。

 今回の記事を拝見し、特に「結びつき」という言葉が大変印象的でした。

 上の例では車いすに乗る人、押す人、作る人の「結びつき」が、もっともっと日常的に、あるいはシステムとしてあれば、「納得の一台」にさらに近づけるのではないか、という思いです。

 長いばかりで的を射ないコメントになってしましました。

 大切なのに、現状不十分な「つながり」。だからこそそこに大きな希望、可能性が眠っている「結びつき」を作っていく「接着剤」のひとつに「ノーリフト」がなっていくような気がした、ということが言いたかったのです。